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マインドフルネスの世界的な広がり

MBSR講師の水野雄太です。米国や英国でのテクノロジー業界や政治分野でのマインドフルネスの普及についてのお話です。

テクノロジー業界に浸透するマインドフルネス

マインドフルネスは米国のテクノロジー業界に幅広く浸透しています。例えば、Googleは社員のためにマインドフルネスプログラムを提供しており、シリコンバレーの本社だけでなく、世界中のオフィスでマインドフルネスを推進しています。初期のエンジニアであるチャディー・メン・タンは、著名なアドバイザーたちと共に、Googleや世界のビジネス環境向けの「サーチ・インサイド・ユアセルフ(SIY)」プログラムを開発しました。チャディー・メン・タンはこのプログラムに関連する書籍も出版し、ベストセラーになっています。また、グーグルでは長年にわたり、レネー・バガード氏による社員向けのマインドフルネスストレス低減法(MBSR)プログラムを実施しています。社員はこの2つのプログラムを行き来しながら、マインドフルネスの実践を深め、自分の生活の中でストレスを調整するだけでなく、イノベーションを発揮するためにマインドフルネスを活用しています。

シリコンバレーでは、GoogleだけでなくAppleやFacebookなど、他の大手企業もマインドフルネスプログラムを採用しています。Facebook社のArturo Bejar氏をはじめとするエンジニアたちは、Facebookのユーザーの間で紛争が発生したときに対処するために、プラットフォームにマインドフルネスの要素を組み込み、人々が自分の心の状態や感情、コミュニケーションの取り方をより意識できるようにしています。Facebookは、カリフォルニア大学バークレー校のDacher Keltner氏のグループと強力な共同研究を行っており、マインドフルネスと思いやりの心がこうした対立を減らし、ユーザー間のコミュニケーションを向上させる効果があるかどうかを研究しています。また、X(旧Twitter)では、メリッサ・ダイムラー氏のようなリーダーが組織効果や学習にマインドフルネスを取り入れています。Twitterの創業者の一人が立ち上げたMediumやFacebookの創業者の一人が立ち上げたAsanaなどは、プログラムや講演などを通じて、定期的に社内でマインドフルネスをサポートしています。

政治分野でのマインドフルネスの取り組み

米国では、オハイオ州から選出された民主党の下院議員、ティム・ライアン氏がマインドフルネス瞑想やヨガを熱心に行っており、健康、教育、軍事、経済、ビジネス、環境、エネルギー、刑事司法など、様々な分野でマインドフルネスに基づくプログラムを議会で積極的に推進しています。彼は効果的な解決策を見つけたら、それを広めることが政治家としての役割だと考えており、マインドフルネスをもっと多くの人に知ってもらうことが、議員としての責任であると信じています。アメリカ議会では、ライアン議員のようにマインドフルネスを実践し、それを政治の重要な分野に取り入れ、長期的に活用しようとする議員が増えるかもしれません。

イギリスでは、政治家たちがマインドフルネスの社会的および経済的な可能性に関心を示しており、オックスフォード大学の指導の下でマインドフルネスコースを受講しています。下院議員のクリス・ルアンや貴族院議員のリチャード・レイヤードは、マインドフルネスを国政に取り入れる提案をしています。レイヤード卿は、人間の心理的要素を考慮した経済指標の導入を提唱し、彼の「アクション・フォー・ハピネス」運動を通じて社会的変革を推進しています。

マインドフルネスの普及とその影響

マインドフルネスは、医学、心理学、神経科学の分野においても主流となり、その実践と研究が国際的に広がっています。アメリカ国立衛生研究所がマインドフルネス研究に資金を提供し、イギリス国民保健サービスがマインドフルネス認知療法(MBCT)を推奨しています。年次カンファレンス「Wisdom 2.0」では、ハイテク業界のリーダーとマインドフルネス運動のリーダーが一堂に会し、対話と革新を促進しています。シリコンバレーの主要な慈善家たちも、マインドフルネスの普及に貢献しています。

このような動きは、世界の一隅を照らすきっかけとなるかもしれません。


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参考文献:Kabat-Zinn, Jon. Full catastrophe living, revised edition: how to cope with stress, pain and illness using mindfulness meditation. Hachette uK, 2013.

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