今日はこちらの「マインドフルネスを医学的にゼロから解説する本」という本を持ってきてみました。
この本はとても良い本で、マインドフルネスって、一つの説明で理解することってなかなか難しいと思うんですけども、この本はマインドフルネスをいろんな側面からさまざまな筆者の方が書いてくださっているのをまとめている本、ということで、マインドフルネスを多角的に理解するのにすごく役立っています。
皆さんもよろしければ手に取っていただければと思うんですけども、今日はこの本の具体的な内容というよりは、この表紙のこの絵を題材にしてちょっと話してみたいかなと思うんですよ。
どんな絵かというと、ワンちゃんを男の人が散歩してるんですけど、この男の人はいろんなこと、上司のこととか、家族との関係性のこととか、いろんなことが頭に浮かびながら散歩していると。
で、ワンちゃんの方は、目の前のあの木々とか太陽の光景をそのままに受け止めながら、散歩しているというような絵なんですよね。
一枚めくったところに本文の中から引用があるんですね。
それがどういうふうに書いているかというと、
「あなたは犬と散歩をしている。
太陽は燦々と輝き、木々の緑は美しい。
しかしあなたは抱えている問題や人間関係、家族との葛藤で頭がいっぱい。
きれいな景色は見えていない。
犬は目の前の景色をまさにありのままに見ている。
この犬こそがマインドフルネスの状態である。」
(本文より)
ということで、引用されているんですね。
この絵をもとに考えてみたいのは、ワンちゃんはマインドフルであると言えるんだろうか、ということを考えてみたいなと思ってるんです。
で、僕の考えなんですけれども、マインドフルの一部の条件を満たしているかもしれないけれども、マインドフルであるというと、ちょっと語弊があるんじゃないかなと、個人的には思ってるんですね。
この本を批判するつもりは全然なくて、このイラストを題材に、マインドフルネスについて考えられたらと思って、こういう動画をやってるんですけど。
マインドフルネスにおいては、たしかに目の前の光景をそのままに受け止めることとか、あとは過去や未来とか、今ここではないことに注意が逸れてしまっているのを、逸れてしまわずに今この瞬間にとどまるっていう要素はすごく大切だと思いますし、このワンちゃんはその要素を満たしているかなと思うんですけれども。
前提としては、注意をコントロールしているっていう事が大切かなって思うんですよ。
まず前提として、自分が意識を向けている対象について、それをありのまま受け止めているかとか、過去や未来にそれていく意識を、意図的に今この瞬間に留めているかどうかっていうこと。
その注意のコントロールの要素があって、はじめてマインドフルネスとして成立するんじゃないかなって僕は思っているんですよね。
それで、実際にワンちゃんが、自分で対象を定めて、そこに意識を向けて保っているのかどうかっていうことを調べるのって難しいと思うんですけど。
一般的にはあんまりそういうふうにしているとは、多くの方には思われてないと思うんですよね。
なのでこのイラスト自体はすごくそのマインドフルネスのある要素を簡潔に、初めて見る方にも伝えるという意味で、すごく良いイラストではあると思うんですけども、少しマインドフルネスの要素として取りこぼしている部分が出てくるのかな、と思ったという話でした。
もちろん、これイラストなので、ワンちゃんとしてというより、なんかこう擬人化した感じとして、この男の人と比較する意味でただ描いてるっていうことではないかな、とは思うんですけれども。
違う意味で捉えてしまう方もいらっしゃるのかなと思ったので、今日こういう話をしてみました。
皆さんはどう思われるでしょうか?
で、マインドフルネスもすごく、なんていうかあの本質的な要素として僕が思うのは、こういう男の人みたいに、注意が今ここからそれてしまうっていう状態があって、そこから意図的に今この瞬間に注意を留めるっていうのが、すごく大切なんじゃないかなと思っていて。
ワンチャンって、おそらくその注意がそれてしまうのを、今ここに留めようとしてやっているというよりは、瞬間瞬間を受け止めているっていうふうに近いんじゃないかなって思っているんですよね。注意がそれたものを戻しているというよりは。
そういう意味で、ちょっとこのワンちゃんは、マインドフルネスのニュアンスとは少し違うのかな、と僕は感じたという話でした。
というわけで、本当に申し訳ないんですけど、全然この本を批判するつもりは全くございませんので、良い題材として取り上げさせていただきました。
というわけで、今日はこれくらいにしたいと思います。
ありがとうございました!